笑四季酒造に蔵元探訪してきました!

更新日:2016/06/11

先日5月7日(火)に、私が尊敬する杜氏さんの1人である笑四季酒造の竹島充修杜氏とじっくりお話して蔵内を案内して頂きました!

笑四季酒造は昔ながらの商店街(アーケードのないフルオープンで道幅が狭い)の並びにあり、もう両隣がくっつくように店舗がある。その為蔵の前というか、一応笑四季酒造の正面玄関には着いたが奥行きがあるように見えず、まず第一印象は「製造場は別の所にあるのかな?」と思える程の大きさの正面玄関でした。(竹島さんスイマセン!)

 

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竹島杜氏と酒友店長

実は正面玄関を入ると裏側が製造場となっていて以外と奥行きがありました!
まず最初にとおされた場所は2階にある応接室に案内されました。

 

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上段は最近の笑四季シリーズのラインナップで、下段はかつて以前のラインナップの空ビンがディスプレイされている。

ではまず笑四季酒造を取り巻く環境や歴史についてお話しておきます!
昔は近江の地酒というと殆どの蔵元が灘、伏見の大手蔵の「桶売り」を担っていました。
時代が変わり日本酒の低迷期に入ると、大手蔵からの契約解除が進み各蔵元は自力販売の困窮を極める。
そして県外戦略に遅れを取った。

滋賀県全体には能登杜氏が主流で甲賀は担馬杜氏が中心だった。また県全体に見られる酒質の特徴が濃醇なのは灘など大手蔵の酒質に合わせて濃醇な酒質の酒を桶売りしてたり、琵琶湖を取り巻く湿潤な気候などによる。

笑四季酒造の27Byの石数は約450石、創業は明治25年、現在会長は竹島建三氏、社長兼杜氏として竹島充修氏となる。従業員は3名、季節パートで5名。出荷は市内(5%)県内(35%)県外(45%)海外(15%)平成元年までは月桂冠に桶売りしていた。
平成19By 竹島充修氏入社、翌Byより醸造責任者となる。
平成22By 全量滋賀県産米への切り替え
平成23By alc添廃止して純米蔵へと切り替える
平成25By 全量醸造乳酸使用廃止して乳酸菌使用速醸酒母(何故「速醸もと」となるかは後説明)に切り替える。

続いて竹島杜氏の履歴についても紹介しておきます。
昭和54年 12月新潟県柏崎市にて 出生
平成10年 新潟県吉川高等学校醸造科 卒業
平成14年 東京農業大学応用生物科学部醸造科学科 卒業
平成14年 原酒造株式会社(越乃誉)入社
平成19年 原酒造株式会社 退社
平成19年 笑四季酒造株式会社 入社
平成20年 醸造責任者 就任
平成28年 代表取締役CEO 就任

あと商品コンセプトも良いと思えばスパッ!と切り替えていく竹島杜氏なので最新の商品コンセプトも聞いてきたので笑四季ファンの方々の為に紹介しておきます!

○センセーションシリーズ(3種類)
・黒ラベル…K7系酵母使用してボリューム感を引き出す。
・白ラベル…K14酵母使用して軽くシャープな酸、味わいの良さを意識する。
・茶ラベル…海外用酒で、香りの出る酵母使用して華やかさを出す。

○インテンスシリーズ
純米大吟醸造りで軽快さとよりハッキリとした香味の個別を出す。

○インテンス・センシュアルシリーズ
ブランド統合により当社唯一の「香り系」で旧態の笑四季を語る上で外せない。

○マスターピースシリーズ
鑑評会、各コンペ出店用酒。インパクト重視ではなくじっくりと向き合える商材で、少酸性を活かし和食、魚介系とのハーモニーを約束

○モンスーン(貴醸酒)シリーズ
店頭的手法と最新バイオ技術の融合、特に山田錦はバナナ様香が強く出る酵母を使用し、濃密な味わいを出す玉栄はメロン様の風味を意識する。

○マニアックラヴシリーズ
新しい酵母や酒母仕込方法など実験的、前衛的な酒質設計を目標とした酒
今季は「星空シネマパラダイス」「いとしのキャサリン」「ジョヴァンカと幸福論」の3作である。

最初に応接室に案内されてからは、以上のようなお話や私が一番聞きたかった「乳酸菌植付け酒母」についてなど、他にも新政の佐藤祐輔さんとの関係や、各酵母、各酒母の歴史、出所、考え方など色々なお話をしました!因みに竹島杜氏が最近全てのラインナップにおいて「醸造乳酸添加の速醸もと」を廃止して行っている手法を「高温糖化乳酸菌酒母」と呼んでいる。
これは酒母の汲み水を約58℃にして、他の雑菌等を滅菌し仕込み始め38℃位になってから乳酸菌培養液を投入して造っていく、俗に言う「新式山廃もと」だが、実は酒税法上は「醸造乳酸の添加(乳酸菌も含む)」となっていて乳酸菌を添加して、そこからの乳酸を生成させてもやはり「速醸もと」となるらしい事を聞いて、今まで私が乳酸菌植付けにより生成させる乳酸を使用する「もと」は「速醸もと」とはならない!と言っていたので凄くショックでした!!本日より訂正致します!(スイマセン)
酒母造りにおいて、いくら自然界からの乳酸菌をビア用して投入しても「添加投入」する限りその「もと」は「速醸もと」と言う事になるのです!!(因みにこの事実判明により新政の祐輔さんも27Byの造りから全てを「山廃、生もと」造りに変更したそうです!!)他に「炭酸ガスを強く残すには酒を甘くしないといけない」と説明しながらスラスラスラ〜と専門用語の話にはついていけません!噂には聞いていましたが、本当に流石の私も話についていくのに必死でした!!結局この日は蔵内見学もしないといけないと言う事で、私が聞こうと思った質問は半分も聞けませんでしたので、近々再びお話だけでゆっくり時間を取ってもらうという事にして、また竹島杜氏のもとへ行くぞ!!とにかく私は蔵見学するよりこういう話しをするのが大好きなので!!過去にも「風の森」蔵元へ始めて行った時も、全社長と酒造りの話を4時間もして蔵見学をしないで帰ったので、「こんな方は貴方が初めてです!」とビックリさせた事がありました!

では、そろそろ蔵内を紹介していきましょうか!
一応応接室でのお話が終わると「では蔵を案内します」と言う竹島杜氏の後をついていきました。
最初は米を洗米したり蒸したりする「原料処理場」からです!

 

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左の細長い機材よりホースで蒸気を送り、右の甑(500K)で蒸す「蒸気送りタイプ甑」を使用
この「原料処理場」で酒造期は米を洗米(ウッドソンMJP製ではないが「獺祭蔵」と同じタイプの物使用)
したり浸漬、吸水などを行う。

 

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これが「笑四季」の麹室

 

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製麹法は多分ほとんどの人が知らない「木谷式ハングリー製麹法」を採用する。

 

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室内は2室に分かれていて、製麹はフタ麹と箱麹の中間型「4K盛り小箱」で、平均80Kを引き込む。
盛りは箱中央に盛り上げ3段積み。途中2段に積み替え、仕舞仕事で全休に広げる。
オフフレーバー(4VG)対策として室内は常に過乾燥(床室31℃、棚室33℃、湿度30%)で殺菌灯、脱臭機等も使用

麹菌は「秋田今野」社製を3種類使い分ける
(・センセーションシリーズ→「秋田今野・白夜」麹菌を米(100kg):麹菌(40g)で使用)
(・マスターピースシリーズ→「秋田今野・黒判+今野グルコS」を米(100kg):麹菌(35g)で使用
※「今野グルコS」…グルコアミラーゼ活性を強化させる菌)
(・モンスーンシリーズ→「秋田今野・黒判良い香り」を米(100kg):麹菌(40g)で使用)
以上のものを室内は過乾燥状態で掛帆布でコントロールする。酒母添仲留と作り分けしない。

 

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出麹後は「ハクヨー冷却機」で24h通風後5日以内で使用する。

 

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酒母室は冷房管理となったいわゆる「チャンバー」内で行う。

 

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これが笑四季全商品に使用されるあの噂の「高温糖化乳酸菌酒母」に使用される
「乳酸菌培養液装置」である!これは昔姫飯仕込をやっていた時のものを改造したものである。
先程も説明したが、醸造乳酸を添加した酒母でも乳酸菌を添加して自然の乳酸菌の生成を持って造る酒母でも両方「速醸もと」と言うのだが、竹島杜氏が後者の「乳酸菌酒母」にこだわる理由は23Byより全商品alc添加を廃止して純米造りにしたか、合成乳酸(醸造乳酸)を添加して造る純米に抵抗感を抱き(これは新政の祐輔さんも同じ考え)より自然の仕込み方に近い「生もと系」にこだわったナチュラル志向と生もと系独特の旨み等付与と個性の発展と速醸もと並の製造期間の大幅な短縮などの利点を考えて「乳酸菌添加型の酒母」に切り替えたのである!

 

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ここが仕込み部屋で醪タンクは大小合わせて12本ある。仕込み総米は全て750Kg仕込み。
これを週2.5本づつ仕込んでいく。そして純米仕込みで勿論酒税法上副原料として明記しなくてもよい醸造乳酸、酵素剤、助剤は一切使用しない!ここら辺の考え方が新政の祐輔社長も同じ考えで、竹島杜氏tお仲が良いのである。
そして使用酵母は協会酵母、農大花酵母、京都産業技術研究所酵母などを使い分ける。

 

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醪温度調節が容易にできるサーマルタンクもあるが、この様に「手造りジャケット?」もある。

ここで、笑四季オリジナル酒母仕込み方法の「乳酸菌使用酒母」の仕込み方を説明しておきます。

1)酒母汲水を70℃に加温して58℃で仕込み始める
2)2時間糖化をすすめる
3)冷却して38℃以下で例の「乳酸菌培養液」を投入
4)投入後36時間経過させボーメ14〜16、酸度3.0〜4.2にして異常が無いか確認
5)再び加温して約70℃にして殺菌する
6)再び冷却後に酵母を添加していく

 

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全商品この佐瀬式の槽搾りをする。以前はこの場所にヤブタ式がありそれで搾っていたが、搾り袋が洗濯しやすく衛生的なのでヤブタ式を止めた。

 

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酒が搾られるといつもこの「119番タンク」に一旦溜めてからビン詰めしていく。

 

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写真中央奥にあるのが「小型ビン詰めライン機」で、ほぼ「手詰め」に近い感じである。

 

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「火入れ」はこの専用箱を使用する。温度はビンに直接挿した温度計で、酒の温度を計り手前白いヒモにぶら下がった温度計で箱内の水の温度を計る。火入れ温度は63℃が目安。

 

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出来上がった酒はこの貯蔵庫で保管する。1升ビンなら約2400本貯蔵可

 

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先に仕上がった酒の数々がキープされている
とこんな感じで笑式の酒はこの様な製造工程で造られていくのです!!
最後に総評として世の中の真面目に真摯に酒造りに取り組む方々(最近では十四代(高木さん)、而今(大西さん)、新政(佐藤さん)他…)が多くおられるが、発酵学をしっかり勉強して身に付ける竹島杜氏は私が最も尊敬する杜氏の1人である事を最後に付け加え蔵元探訪レポートを終了します。


さてここで今後の『酒友・日本酒学校蔵元を囲む会』のCMをしておきます。
まず、次回6月25日(土)は『天山・七田(佐賀)七田社長を迎えて全ての七田酒と料理を楽しむ会』を開催致します。
時間はPM1:00〜4:30、参加費:6700円です!あと若干席がありますので、参加申し込みお待ちしております!!(電話:06(6821)2985)
(あと7月9日(土)『東鶴(佐賀)野中社長兼杜氏の会』が野中さんの都合で9月3日(土)に変更となりました!)

◎7月9日(土)『日本酒初心者セミナー&「有名プレミア種VS一般実力蔵酒」ブラインド利き酒で勝つのは?の会』

◎7月30日(土)『若波・蜻蛉(福岡)今村友香(or9代目杜氏or今村専務)を迎えての会』

◎8月未定『鍋島(佐賀)飯盛社長を迎えて全ての鍋島酒と料理を楽しむ会』

◎9月3日(土)『東鶴(佐賀)野中杜氏兼社長を迎えて全ての東鶴酒と料理を楽しむ会』

◎9月22日(木・祝)(予定)『川中島・幻舞(長野)千野麻里子杜氏を迎えて全ての幻舞酒と料理をの楽しむ会』

◎10月8日(土)『花邑(奈良)橋本杜氏を迎えて全ての花邑酒と料理を楽しむ会』

◎10月29日(土)『而今(三重)而今の全て(新酒〜冷卸、出品大吟他)と料理を楽しむ会』

◎11月12日(土)『日本酒初心者セミナー&速醸もと純米(醸造乳酸)VS生もと系純米(天然乳酸)の会』

◎11月23日(水・祝)『田酒(青森)全ての田酒(新酒〜各旬酒他)と料理を楽しむ会』

以上のように今年(H28)後半の会が決定しましたので、皆様できるだけ早く「お休み」の手配をしてどんどん参加して下さいネ!
お待ちしております!!


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TEL:06-6821-2985