全国蔵元唯一!「一般米しかしようせず酒米を越える酒造りをする」白杉酒造(京都・京丹後)探訪レポート

更新日:2016/08/22

当店「ブログ」を見ている方は、もうすでに分かったと思いますが、先日8月21日(日)に開催した「シークレット蔵元の会」が、この蔵元の会でした!
全国約1600蔵ある中で、唯一「酒米ではなく一般米(コシヒカリとササニシキ)だけを使用して美味しい酒を造る蔵元がある!」と聞いて、その真偽を確かめるべく、盆明け直後の8月16日(火)に訪蔵して来ました!
この蔵元メインとなる酒「白木久・コシヒカリの酒」は去年位から、当店でも時々扱ってきますが、1番最初は「一般米=飯米(コシヒカリ)」と聞いていたので、それほど期待もせずに、とり敢えず仕入れてみたのですが、一口目から「驚愕の目からウロコ」状態でした!その酒質はスッキリとしたほのかな甘香を漂わせ、含香との調和もよく、サラリとしながらも穏やかな酸をベースとした軽い旨味のある酒質で、他蔵の造る「一般使用の酒」とは全く一線を画す別物の酒でした!
まァ確かに世の中の「一般米を使用した酒」は酒質に奥行きのない言わばコクのない薄っぺらく、よく言えば「サラリとして旨味が少ない分喉越しスルリとは入る酒」が多い様である。
そして飯米は確実に酒米よりも仕入れ値が安い為、通常コストを抑える為の酒(安酒)を造る時、掛米に使用されたりして「酒の増量手段の為」に使用される場合が多いのも確かである。
恥ずかしながら私もそう思う輩の1人であったが、この「白木久」を飲んだ瞬間分からなくなった!
その為、色々な「白木久」を確かめてみたが各々に「香味の味付」が多彩に渡りに使用米は「コシヒカリとササニシキ」だけなのだが「間違いなくここの杜氏は酵母を色々と何種類かを使い分けてるな!」と理解出来た!更に「香り系酵母」にありがちな後口のフィニッシュに雑味を感じる事がない!もしかしたら「天才肌」か「研究職人肌」かのどちらかである!まして一般米は酒米と違って「粘り気」がある為、麹造り(つまり洗米から限定汲水)をしっかりして「蒸し」の作業も「酒米の時のそれ」とは絶対に同じでは出来ないのだ!!(水分は含み難く蒸してもすぐβ化してガチガチになってしまう!)どちらにしても「凄い杜氏」である事には間違いない!!と言う事で1年越しの夢がかなって先日やっと訪蔵して見学するより酒造理論の話し(亜硝酸と乳酸の生成順序とそのメカニズム、新政の仕込み方法「手モト」について等色々…)ばかりしてきました!

 

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右の蔵主兼杜氏の白杉悟さんで、まだ40代前の以外と若い杜氏でした!
白杉杜氏のTシャツよく見ると「白木久・夏酒ミルキーウェイ」のTシャツです!!
では先づは白杉酒造の歴史と蔵元風景から紹介していきます。

 

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創業1777年(安政6年)の約240年の歴史ある蔵元で、現在は11代目白杉悟(社長兼杜氏)です。
11代目白杉さんは実は蔵の直の後継者ではなく10代目の甥でした。22才の時に蔵を継ぐ為に養子に入られました。入蔵の頃は但馬杜氏に師事しながら、東京の滝野川や広島の種類総研の両方で醸造学と酒造りを学んでいきました。その頃の同級生として射美の杉原さん(岐阜)や而今の大西さん(三重)などがおられます。それから5年後に杜氏となり現在に至ってます。

 

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蔵の裏側には白杉酒造のシンボルとなっている樹齢400年の立派な椎の木があります!
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その椎の木の後ろにある小山には防空壕の穴が今でも残っています。この地で大地主だった当時の白杉家当主は、村の人々の多くが入れるように!と中は凄く広いそうです。

 

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蔵入口は白木久を使用したスイーツ(バウンドケーキ)も有名で白木久の酒と一緒に買入出来る販売所と喫茶室も併設されてます。
では、白杉酒造の蔵内の様子を案内していきます。
白杉酒造は白杉さんが杜氏になられて2年前位までは奥様を含めた3人体制で11月上旬から酒造りをスタートして12月中旬には終了するという年間石数はたったの60石位でしたが、今年は4人体制となり10月中旬より3月末までの約220石と増産出来るようになりましたが(これがMAXらしい!)全国的にはまだまだ小さな蔵です。そして実は2年前までは酒米(唯一京都が開発した酒米「祝」や五百万石など)もしようしていたのですが、その2年前契約農家のミスにより酒米が一粒も入らない!という事件が起り酒造りもスタート寸前と言う事で、止むなく地元産のコシヒカリとササニシキのみで酒造りをせざるを得なくなる。その時一般米を研究し、試行錯誤の結果、その年の酒は従来の酒米使用の酒よりも素晴らしい酒質の酒が出来て、それより酒米に頼った酒造りを止め日本全国どの蔵もチャレンジしてない「酒米をしようしない一般米に特化した酒造り」に切り変えたのである。

 

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洗米、浸漬は上のステンレス桶に水を張り、白杉杜氏が手にしているネットに10kgずつ米を入れ完全手洗いをしています。(MJPやウッドソン類は使用していません)
仕込み水は蔵内にある井戸水(軟水)をポンプで送り、ホース先にはゴミなどを取る為に特別な浄水器シャワーを手造りした物を使用してます。

 

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甑は「ホリケン式密閉型」を使用。クレーンで吊り下げられた甑のフタが甑の上部にキッチリハマってからフタに付いているロックを閉める「密閉式」で蒸気は上から吹き込み下から抜けるシステムの甑でしっかりとした乾燥蒸気が利用出来る。

 

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甑の全体を見ても分かるが800kg蒸せるが白杉杜氏は仕込み工程毎に蒸していくので、通常370kgずつ蒸すので、甑内を浅くしているのだ。米が一般米の為、蒸米の作り置きが困難(表面がβ化し易いので乾き易いから)なので、その都度蒸す。
(酒米以上の酒を造る為、特殊な面倒な手法をしないといけない!)
また、蒸し時間も酒米なら1時間弱でOKだが一般米は「外軟内硬」なので蒸し時間は何と1時間30分もかかってしまう!

 

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麹室は本蔵内には無く、洗米場に隣接する外に経つ土壁作りの蔵内にある。
結構、年代を感じる手作り感の強い小さな室である。

 

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室内は1室のみで右側で種麹菌を接種させ左側で箱麹方で盛り手入れする。
10kgずつを箱に入れる。また製麹に要する人の手による「さばけ」の時間は酒米よりも、当然「粘り気」が強い為、時間が長くかかる!
麹菌は菱六の物を使用するが、各工程毎に使用する麹米はランクの違う菌を使い分ける。そして一般米の特性を考慮して麹菌は総破精に近い状態にして醪内でしっかり酵素を出すように麹力価の高い麹に仕上げるのだ。

 

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酒母場は、ここでこの酒母タンクを2基使って仕込む

 

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仕込場には6本のタンク(サーマルは無し)があり、これを1週間に1本の割合で仕込んでいく。タンク上部より櫂入れする為の足場は白杉酒造にはない!櫂入れは物量をタンク内に投入した時位にしか使用せず、醪内で発酵する時の酵母菌の力による自然対流を主と考えているからだ。酵母菌も「サァー発酵するぞ!」と言う時に目の前に木の棒が入ってくると「発酵する気が無くなるでしょ!」という理屈だ!中々面白い理論で、これはまんま秋田の山内杜氏の長老・高橋藤一杜氏(雪の芽舎)と同じ考えである!!
その為に、酵母も現在流行の「泡ナシ」ではなく「泡アリ」で発酵力の強いK7や、K9をメインとして、各酒質に応じてK1801や、K1501(泡なしタイプしか販売されてないので、仕方なく泡ナシを使用)やK14(K14までは泡ナシ、泡アリの両タイプがあるので、勿論「泡ナシ」タイプを使用する!)などの酵母を単体使用したり、ブレンドしたりして、その酵母の特性を上手に引き出したし込み方を器用に熟している!(下手な杜氏だと酵母の特性は引き出せない!いくら香りが出る酵母を使用しても、香りは出てこないのだ!いつも私が言ってるように洗米~麹室までのしっかりとした作業をしないと絶対に引き出せない!!)
説明が後になったが「櫂入れ」する時は写真中央にある「木製ハシゴ」をタンクに立てかけて行う。

 

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「搾り」はこの「ヤブタ式」のみで搾る。(パネルは30枚使用)やはり搾っている時「酒が空気に最後まで触れ難い」という拘りからだ。

 

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搾られた酒は一応全てこのタンクに集められ、それからビンに詰めていく。

 

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階段終了の白っぽい透明ビニールが張ってある先が、何と白杉酒造唯一の冷蔵貯蔵庫!

 

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そして、その貯蔵庫の中です!右の黒い大きなビニールの右側に積んである1箱の中には、各種「生酒」があります。白杉杜氏に1つだけ言わせて頂くなら、これから先を見ていくなら、個別となる冷蔵室がいくつか欲しいですネ。各々貯蔵温度を変えた貯蔵冷蔵室が…
そして最後に8月21日(日)『白木久の会』に出品酒として登場させる酒を決める為に、全種類の酒を利き酒させて頂きました。この様にして今回の出品酒が決定されたのですが、中でも1番私の心をときめかせてくれた酒が『白木久の会』でも9番目に登場させていた『生モト純米酒』です!
蔵元で利き酒したこの現場でも、1番最後に置かれていたのですが、ラベルを見ると「生モト」と書いてあるので「モト摺りしたのですか?」と聞くと「いやモト摺りはしていません!」と言ったので、私は間髪入れずに「つまり手モトの酒ですネ!!27Byの造りから新政の祐輔さんが導入した生モトの原型のやり方!」と言うと、白杉さんはビックリした様にして「実は新政さんのその手法の生モトを真似して造ってみました…」と言われました。流石の私も大変な興奮と感動を覚えました!8月21日(日)の『白木久の会』へ参加された方は、白杉杜氏と私の説明で「モト摺りしないのに、生モトと言うそれも生モトの原型となる仕込み方法について」がよく理解して頂けたと思いますが、その会へ参加してない方々は「そんな生モトと言わないハズでは?」とほとんどの方が思っているでしょう!?そんな方々の為に次回のブログで「新政の祐輔さんが最近思っている酒造りについて、歴史と理論を交えて、彼の代役として」私が分かり易く全てを解説しますので、超ご期待下さいネ!!

 

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この9番の酒が、その「手モトによる生モト純米」です!今更「飲みたい!」と思った人に一言!!
『いつも私が言ってるように、本当の日本酒ファンなら全く知られていない蔵元の会こそ参加してみるべきです!』特に「酒友」が呼んでくる蔵元は、特に『実力のある知られざる蔵元の会』を得意としているのですから!これからは心を入替えて参加して下さいヨ!!
では、その流れで、次回『酒友・新企画の会 第2弾』となるのが、9月3日(土)開催の『日本酒の常識が非常識! 東鶴(佐賀)イケメン野中杜氏による「アル添は技術の酒」を学ぶ純米酒の会!?』です!
この会での『日本酒の常識が非常識」と言う今回のテーマは「アル添酒が単なる混ぜ物の手法の酒!と言うなら、現在96%以上の手法で造られる「速醸モトによる純米酒」は負けず劣らずの「混ぜ物酒」で体に良い酒ならむしろ「アル添酒の方が良い酒!」と言える!!』と言う誰も気付かなかった、正に「誰が聞いても反論できない正しくも凄い理論」を持って『アル添は技術の酒!』を証明してくれます。つきつめればお酒の「良し悪し」はそんな「アル添や純米」ではなく、純粋に「飲んで美味しくて、更に安ければそれが1番良い酒!」という事を再認識させてくれます!
この会も実際に参加された方だけが、日本酒について「凄いスキルアップ」が可能となります。
また、世の中にはまだまだ無名ながら凄い実力を持った蔵元がある事を分からせてもらえます!
この『東鶴の会』をもっと詳しく知りたい方は、このブログの1つ前の記事に詳細をアップしてますので、是非1つ戻って記事を見て下さいネ!
尚、第1弾『白木久の会』と、この第2弾『東鶴の会』へ連続参加して頂いた方に限り「新企画の会」を記念して、第2弾『東鶴の会』の参加費をナント!「4,500円でOK!」とさせて頂きます!さァ、このチャンスを是非見逃す手はないぞ!!


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